離婚の種類とは?
日本の法律では、離婚には大きく分けて4種類の方法があります。それぞれの特徴や進め方、必要な手続きを詳しく解説します。
1. 協議離婚(夫婦の話し合いによる離婚)
- 特徴
- 夫婦が話し合いで合意すれば成立する最も簡単な離婚方法
- 日本の離婚の約9割が協議離婚
- 裁判所を通さずに離婚届を提出するだけで完了
- 手続きの流れ
- 夫婦で離婚の合意をする
- 親権(子どもがいる場合)・財産分与・養育費などを決める
- 必要に応じて「離婚協議書」や「公正証書」を作成する
- 市区町村役場に「離婚届」を提出し、受理されれば離婚成立
- メリット
- 手続きが簡単で時間も費用もかからない
- 裁判や調停をせずに、夫婦の話し合いで決められる
- デメリット
- 感情的になりやすく、公平な取り決めが難しい
- 書面を作らないと養育費や慰謝料を支払わないトラブルが発生しやすい
2. 調停離婚(家庭裁判所での話し合い)
- 特徴
- 夫婦間の話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所で調停を行う離婚方法
- 調停委員(第三者)が間に入って、話し合いを進める
- 当事者同士の直接対話を避けられるため、冷静に進められる
- 手続きの流れ
- 家庭裁判所に調停を申し立てる(申立費用1,200円+郵便切手代)
- 月1回程度、家庭裁判所に出向き、調停委員を通して話し合う
- 双方が合意すれば、調停調書が作成され、離婚が成立
- 役所に離婚届を提出し、正式に離婚が成立
- メリット
- 裁判よりも費用が安く、スムーズに解決できる
- 公正な立場の調停委員が仲介するため、冷静に話し合いができる
- 調停調書は法的効力があり、養育費や財産分与の支払いを強制できる
- デメリット
- 時間がかかる(数ヶ月~1年程度)
- 必ずしも合意に至るとは限らない(合意できない場合は裁判に進む)
3. 裁判離婚(離婚訴訟)
- 特徴
- 調停が不成立だった場合に、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、裁判で決着をつける方法
- 裁判離婚が認められるのは、法的な離婚理由がある場合のみ(民法770条)
- 法的な離婚理由(民法770条)
- 不貞行為(浮気・不倫)
- 悪意の遺棄(生活費を渡さない・家を出るなど)
- 配偶者の生死が3年以上不明
- 精神病で回復の見込みがない
- 婚姻を継続しがたい重大な理由(DV、モラハラなど)
- 手続きの流れ
- 家庭裁判所に離婚訴訟を提起する
- 弁護士をつけ、証拠を集めながら審理を進める
- 判決が出て、裁判所が離婚を認めれば正式に離婚が成立
- メリット
- 調停では決まらなかった場合でも、法的に解決できる
- 慰謝料や養育費を確実に請求できる可能性が高い
- デメリット
- 裁判費用が高額(弁護士費用50万円以上)
- 数年かかることもあり、精神的な負担が大きい
- 勝訴しなければ離婚できない
4. 審判離婚(家庭裁判所が決定)
- 特徴
- 調停が成立しなかった場合に、裁判を経ずに家庭裁判所が審判を下して離婚を決定する方法
- 審判離婚は非常にまれ(基本的には調停や裁判で決着)
- 夫婦の一方が同意しない場合、異議を申し立てれば無効になる
- 手続きの流れ
- 調停で合意に至らず、裁判官が離婚が妥当と判断すると審判が下される
- 2週間以内に異議申し立てがなければ、審判離婚が成立
- メリット
- 裁判に進まずに離婚が成立する可能性がある
- デメリット
- 片方が異議申し立てをすれば無効になるため、実際にはほとんど使われない
5. まとめ
離婚の種類 | 進め方 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
協議離婚 | 夫婦の話し合いで合意 | 簡単・費用がかからない | 口約束ではトラブルになりやすい |
調停離婚 | 家庭裁判所の調停で話し合う | 第三者が仲介・法的に有効な調書 | 時間がかかる(数ヶ月) |
裁判離婚 | 裁判で決着 | 法的強制力がある | 費用・時間・精神的負担が大きい |
審判離婚 | 家庭裁判所が決定 | 簡単に解決する可能性あり | 異議申し立てされると無効 |
6. どの離婚方法を選ぶべきか?
- 話し合いが可能なら「協議離婚」(最もスムーズ)
- 意見がまとまらないなら「調停離婚」(第三者が仲介)
- 法的な問題が絡む場合は「裁判離婚」(確実な証拠が必要)
- 特殊なケースなら「審判離婚」(極めて稀)
離婚を考える際は、自分の状況に合った方法を選び、必要なら弁護士や専門家に相談することが重要です。