遺産分割協議とは、相続人全員で故人(被相続人)の財産の分け方を話し合い、合意に基づいて財産を分配する手続きです。この協議がないと不動産の名義変更や預金の解約などができない場合があります。以下、遺産分割協議のやり方をわかりやすく解説します。
■ 遺産分割協議の基本
- 対象者:法定相続人全員で行う必要がある(1人でも欠けると無効)。
- 目的:被相続人の遺産(不動産、預貯金、株式、車など)の分け方を決める。
- 遺言がある場合:基本は遺言に従う。ただし、相続人全員の合意があれば協議による分割も可能。
■ 遺産分割協議の手順
① 相続人の確定
- 戸籍謄本を取り寄せて相続人を調査・確認。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要(兄弟姉妹が相続人となる場合もある)。
② 相続財産の調査・把握
- 不動産(土地・建物)の登記簿謄本、預金残高、有価証券、借金などを調べる。
- 財産目録を作成して、相続人全員で内容を共有。
③ 協議の実施
- 相続人全員で財産の分け方を話し合う。
- 誰が何を相続するか、共有にするか、売却して現金分配するかなどを決定。
④ 遺産分割協議書の作成
- 協議内容を文書にまとめたものが「遺産分割協議書」。
- 各相続人の署名と実印が必要。印鑑証明書も添付する。
- 書式に決まりはないが、記載内容に不備があると名義変更などができない。
⑤ 各種手続きへの活用
- 協議書をもとに以下の手続きを行う:
・不動産の名義変更(相続登記)
・預金の解約・払い戻し
・株式や車の名義変更など
■ 協議がまとまらない場合
- 家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることが可能。
- 調停でも合意できなければ「審判」に進む。
- 強制力を持つ審判により、最終的に分割内容が決定される。
■ 注意点・コツ
- 必ず全員の合意が必要。後から「知らなかった」と主張されると無効になる恐れ。
- 分割前に遺産に手をつけるとトラブルになるので注意。
- 専門家(司法書士、弁護士、税理士)に相談すれば安心して進められる。
遺産分割協議は、相続のなかでも最もトラブルが起きやすい場面です。冷静な話し合いと丁寧な手続きが、円満な相続への第一歩です。