配偶者は法律上、常に相続人となります。被相続人(亡くなった人)がどんな家族構成であっても、配偶者には一定の相続権が保障されています。ただし、状況によって相続できる割合や内容が変わるため注意が必要です。以下に、配偶者の相続権についてわかりやすく解説します。
■ 配偶者は常に法定相続人
- 民法では、配偶者は常に相続人になると規定されている(子や親がいてもいなくても)。
- 再婚・内縁関係・事実婚などは対象外。法律上の婚姻関係がある配偶者に限られる。
- 離婚していた場合は相続権なし。
■ 相続の割合は他の相続人の有無で変わる
【1】配偶者と子どもが相続人の場合
- 配偶者:1/2
- 子ども:1/2(複数いれば均等分割)
【2】配偶者と直系尊属(父母・祖父母)の場合
- 配偶者:2/3
- 直系尊属:1/3
【3】配偶者と兄弟姉妹の場合
- 配偶者:3/4
- 兄弟姉妹:1/4
【4】配偶者のみ(他に法定相続人なし)
- 配偶者が全財産を相続する。
■ 遺言がある場合は内容が優先される
- 被相続人が遺言で財産の配分を指定している場合、原則としてその内容が優先される。
- ただし、配偶者には遺留分(最低限の取り分)が保障されており、遺言でゼロにされた場合でも一定の請求が可能。
■ 配偶者の税制上の優遇措置
- 相続税には「配偶者の税額軽減」があり、1億6,000万円までまたは法定相続分までの相続であれば相続税がかからない。
- 申告は必要だが、税負担が大きく軽減される。
■ 配偶者居住権の新設(2020年改正)
- 被相続人の死亡後も、配偶者が自宅に住み続けられる権利(配偶者居住権)が法制化。
- 自宅の所有権と分けて居住権を設定できるため、安心して生活を継続できる。
■ 相続放棄を選べる場合もある
- 配偶者であっても、被相続人に多額の借金がある場合などは、相続放棄が可能。
- 相続放棄すると、最初から相続人でなかったことになり、財産も債務も一切継がない。
■ 注意点
- 内縁関係・事実婚・長年同居していたパートナーでも、法律婚でない場合は相続権がない。
- 相続人間で争いが起きることもあるため、遺言の作成や家族での話し合いが重要。
■ まとめ
- 配偶者は、常に法定相続人として保護される存在。
- 法定相続分・税制優遇・居住権など、配偶者には他の相続人にはない優遇措置も多い。
- ただし、適切な手続きを行わないと権利を十分に行使できないため、必要に応じて専門家への相談も検討を。