相続にはさまざまな手続きがあり、それぞれに法律で定められた期限があります。期限を過ぎると不利益を被る可能性もあるため、正確に把握しておくことが大切です。以下、主な相続手続きの期限をわかりやすく解説します。
■ 相続手続き全体の流れと主な期限
【死亡後すぐ~7日以内】
- 死亡届の提出(7日以内)
・死亡を知った日から7日以内に、市区町村役場に提出。
・病院で死亡診断書を受け取り、家族が提出。
【死亡後14日以内】
- 世帯主の変更届(14日以内)
・世帯主が変わる場合は市区町村へ届出が必要。 - 年金受給停止手続き
・年金受給者が亡くなった場合、速やかに年金事務所に通知。
【死亡後3ヶ月以内】
- 相続放棄・限定承認の申述(3ヶ月以内)
・相続人は、相続を放棄するか、限定承認するかを選択。
・被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立て。
【死亡後4ヶ月以内】
- 準確定申告(4ヶ月以内)
・被相続人に所得がある場合、その年の1月1日から死亡日までの所得について申告が必要。
・相続人が代わりに税務署へ申告・納税。
【死亡後10ヶ月以内】
- 相続税の申告と納税(10ヶ月以内)
・相続財産が基礎控除額を超える場合、相続税の申告・納付が必要。
・原則として現金一括納付。延納・物納も条件付きで可能。
【期限はないが早めに行いたい手続き】
- 遺産分割協議書の作成
・相続人全員で財産の分け方を決定。後々の名義変更や申告に必須。
・早期の作成がおすすめ。 - 不動産の名義変更(相続登記)
・2024年4月から相続登記は義務化され、3年以内に手続きが必要。
・正当な理由なく怠ると、過料(最大10万円)の対象に。 - 銀行口座の名義変更・解約
・金融機関によって手続きの流れが異なるため、早めに確認。
・遺産分割協議書や戸籍謄本などが必要。
■ 注意点
- 各手続きは期限を過ぎると、放棄が認められなくなったり、加算税が課されるなどの不利益が生じる可能性あり。
- 戸籍の収集や財産の調査などに時間がかかるため、早めの着手が重要。
- わからない場合は、司法書士・税理士・弁護士などの専門家に相談を。
相続手続きは期限ごとに優先順位をつけて、計画的に進めることがトラブル防止のカギです。特に3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月のタイミングを忘れないようにしましょう。