相続税には、相続人が納める税額を軽減するためのさまざまな「控除制度」が用意されています。これらをうまく活用することで、課税対象を減らすことが可能です。以下に主な控除制度を解説します。
■ 基礎控除
- 相続税の課税対象となるかどうかを判断する際に使う控除。
- 計算式:3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
- 例:法定相続人が3人なら「3,000万円 + 600万円×3=4,800万円」が控除される。
- この額以下の遺産総額であれば、相続税はかからない。
■ 配偶者の税額軽減(配偶者控除)
- 配偶者が相続した財産は「1億6,000万円」または「法定相続分」まで非課税。
- 多額の財産を相続しても、要件を満たせば相続税がゼロになるケースもある。
- 申告書の提出が必要なので注意(非課税でも申告が必要)。
■ 未成年者控除
- 相続人が未成年の場合に適用される。
- 計算式:(20歳 − 相続開始時の年齢)× 10万円
- 例:15歳の子が相続する場合 →(20 − 15)×10万円=50万円控除。
■ 障害者控除
- 相続人が障害者の場合に適用。
- 計算式:(85歳 − 相続開始時の年齢)× 10万円
※特別障害者は1年につき20万円 - 他の控除と併用可能。控除しきれない分は他の相続人に引き継げる。
■ 相次相続控除
- 被相続人が10年以内に相続を受けていた場合、二重課税を避けるための控除。
- 前回の相続時に支払った相続税の一部を控除できる制度。
- 複数回の相続が短期間に続く家族に有利。
■ 贈与税との調整(暦年課税分の控除)
- 相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産は、相続税の課税対象に含まれる。
- ただし、その贈与に対して既に贈与税を払っていた場合、その分を控除できる。
■ その他の注意点
- 控除は相続税の計算後に税額から差し引くタイプと、課税価格自体を減額するタイプがある。
- 控除の適用には条件があり、証明書類や申告書類が必要になる。
- 控除の適用漏れがあると、税額が大きくなる可能性があるため要注意。
これらの控除を適切に使うことで、相続税の負担を大幅に減らすことができます。特に配偶者や未成年者、障害者がいる家庭では効果が大きいため、制度をよく理解し、必要であれば専門家に相談するのが安心です。