親子間でも贈与税は発生します。贈与税は、贈与する人の関係性にかかわらず、財産を無償でもらった人(受贈者)に課税される税金です。ただし、親子間の贈与には非課税制度や特例が多数あるため、条件を満たせば税金を抑えることも可能です。以下、親子間の贈与における課税の仕組みや注意点を解説します。
■ 親子間の贈与にも贈与税はかかる
- 財産を無償で渡すと、贈与税の対象になる。
- 金銭、土地、建物、有価証券、車などの財産が該当。
- 相続対策として贈与を行うケースも多いが、課税対象になることを忘れずに。
■ 年間110万円まで非課税(基礎控除)
- 個人が1年間にもらった財産が110万円以下であれば、贈与税はかからない。
- 贈与者ごとの控除ではなく、受贈者1人あたりで年間合計110万円が上限。
- 複数の人から贈与を受けた場合は合算される。
■ 贈与税が発生する例
- 年間110万円を超える現金や不動産の贈与
- 親の口座から子の名義に振り込み(特に契約書なし)
- 学費や結婚費用などで常識の範囲を超えた金額
■ 贈与税がかからないケース(例外・非課税)
- 生活費や教育費としての援助(通常の範囲内)
- 医療費や学費を親が直接支払った場合
- 年間110万円以内の贈与
- 夫婦間での通常の生活費・扶養義務の範囲内の支援
■ 親子間の贈与に使える主な特例
【1】住宅取得等資金の非課税制度
- 親・祖父母から子・孫へ、住宅購入資金を贈与する場合に一定額まで非課税。
- 令和5年(2023年)以降、最大1,000万円まで非課税(条件付き)。
- 指定の住宅、年齢制限、契約時期などの要件あり。
【2】教育資金一括贈与の非課税措置(期間限定)
- 子や孫(30歳未満)への教育資金の一括贈与に対し、最大1,500万円まで非課税。
- 信託銀行などを通じて管理し、使途や領収書の提出が必要。
【3】結婚・子育て資金の一括贈与(制度終了予定)
- 結婚・出産・育児に関する費用も、一定額まで非課税。
- ※制度は期間限定で、今後廃止予定の可能性あり。
■ 贈与税の申告が必要な場合
- 年間110万円を超える贈与を受けた場合は、翌年の2月1日〜3月15日までに贈与税の申告が必要。
- 特例制度を使う場合も、申告が必要になることが多い。
■ 注意点
- 「名義預金(親が管理している子名義の預金)」は贈与と見なされず、相続財産とされる可能性あり。
- 贈与契約書を作成しておくと、トラブルや税務調査対策になる。
- 無申告や隠し贈与は、追徴課税やペナルティの対象に。
■ まとめ
- 親子間でも贈与税は基本的にかかるが、基礎控除や特例の活用で大幅に軽減可能。
- 贈与の記録をしっかり残し、条件を守って正しく申告することが、税務リスク回避の鍵です。
- 不安がある場合は、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。