遺言書は、自分の死後の財産を分配するための大切な書類で、形式や作成に不備があると無効になることもあります。
■遺言書作成の主な方法
- ① 自筆証書遺言
- すべてを自分の手書きで作成する遺言書
- 手軽に作成でき費用もかからないが、形式不備のリスクあり
- 2020年からは、財産目録のみパソコン作成やコピー添付も可能(但し各ページに署名押印が必要)
- ②公正証書遺言
- 公証役場で、公証人が作成してくれる遺言書
- 法的に納得できて、原本が公証役場に保管されるため心配がない
- 証人2名の立会いが必要で、費用も数万円〜かかります
- ③秘密証書遺言
- 内容を誰にも知られずに公証人に証明してもらう形式
- 形式は整っていても、内容不備で無効になることがあり利用は少ない
■自筆証書遺言の作成手順
- ① 用紙と筆記具を用意する
- 白紙の用紙に、黒のボールペンや万年筆で手書き
- 消せるペンや鉛筆、パソコンはNG(財産目録以外)
- ②本文をすべて自筆で書く
- 誰に何を相続させるのか、具体的に記載する
- 例:「長男○○に○○銀行の名義を相続させる」
- 財産の特定は正確に(通帳番号・地番など)
- 誰に何を相続させるのか、具体的に記載する
- ③ 日付と名前を記入し、押印する
- 作成日を「○年○月○日」と記入(「○月吉日」などは無効の恐れ)
- 本人の署名と実印または認印を押す(実印が先)
- ④保管場所を決める
- 自宅保管の場合、紛失や改ざんのリスクがある
- 2020年以降は「法務局での保管制度」も利用可能(本人が申請)
■公正証書遺言の作成手順
- ①公証役場に事前相談(予約)
- 公証人に内容の確認と必要書類の案内を受ける
- 財産内容や相続人情報を事前に整理しておく
- ② 必要書類を準備
- 本人の身分証明書
- 相続人の戸籍謄本や住民票
- 財産関係書類(登記簿謄本、通帳コピーなど)
- 証人2名(18歳以上、利害関係のない人)
- ③公証役場で作成・表現・押印
- 公証人が内容を読み上げ、本人と証人が肖像・押印
- 原本は公証役場に保管され、正本・謄本が本人に渡される
■遺言書作成の注意点
- 法定相続人の遺留分(とりあえずの取り分)を侵害すると、後に争いが起こる可能性あり
- 二重遺言や不明確な表現は迷惑
- 書き直す場合は「新しい遺言が優先される」ことを意識する
- 不安な場合は弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に相談するのが安心です
正しい形式で遺言書を作成しておけば、相続トラブルの防止や大切な人への想いをしっかり残すことができます。