贈与税は、個人から財産をもらったときに、その受け取った人に課される税金です。相続とは異なり、生きている人(贈与者)から財産をもらう点が特徴です。何に贈与税がかかるのかを正しく理解していないと、思わぬ課税を受けることがあります。以下に、贈与税がかかる主なものをわかりやすく解説します。
■ 贈与税がかかる基本条件
- 個人から、金銭的価値のある財産をもらったとき
- 年間110万円を超える金額分に対して課税(基礎控除110万円)
■ 贈与税がかかる代表的なもの
【1】現金や預金
- 現金の手渡し、または銀行振込などで渡されたお金。
- 結婚祝いや生活費の名目でも、常識を超える金額なら課税対象に。
【2】土地・建物などの不動産
- 土地や家を生前に贈与すると、その評価額に応じて贈与税がかかる。
- 固定資産税評価額をもとに算出される。
【3】株式・投資信託などの有価証券
- 株や投資信託を名義変更してもらった場合、時価をもとに贈与税が課される。
【4】自動車や貴金属、美術品など高価な動産
- 高級車や宝石、骨董品なども贈与とみなされる。
- 特に名義変更があると税務署に目をつけられやすい。
【5】住宅購入資金の援助
- 親から住宅資金の援助を受けた場合、一定額を超えると課税対象に。
- ただし、「住宅取得等資金の贈与の特例」で非課税枠(最大1,000万円など)もある。
【6】教育資金・結婚・子育て資金の援助
- 学費や結婚費用などの援助も、原則贈与税の対象。
- 特例制度を利用すれば非課税にできるケースもある(要手続き・上限あり)。
【7】債務の肩代わり(借金返済)
- 他人の借金を肩代わりした場合も「経済的利益を与えた」として課税される。
【8】名義だけの財産(名義預金など)
- 実質的に親の財産なのに子どもの名義にしている場合、贈与と見なされる。
- 税務調査で発覚しやすいポイント。
■ 贈与税がかからないもの(代表例)
- 年間110万円以下の贈与
- 夫婦間での生活費や教育費など、日常的に必要な範囲の支援
- 契約や報酬として対価がある場合(給与・バイト代など)
- 法人からの贈与(所得税の課税対象となる)
■ 注意点
- 現金や不動産を渡しても「贈与契約書」を作っていないとトラブルの元。
- 税務署は銀行口座の動きや不動産登記をチェックしている。
- 贈与税の申告は、贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日までに行う必要がある。
まとめ:
贈与税は、「もらった財産の価値」に対して課される税であり、形式や目的に関係なく課税されるケースが多いです。非課税制度を正しく使い、贈与契約の証拠も残しておくことが、無用な課税トラブルを防ぐポイントです。